自殺対策・自殺予防に関心をお持ちの皆さん。良い機会ですから、自殺予防の認識に誤りがないか、正しく認識できているかどうか確かめてみましょう。自殺予防に関する認識を確認できる簡単なクイズを用意しました。答えは、設問の下部分をマウスでドラッグして下さい。
【設問1】自殺予防とは自殺防止のことであり、どちらも同意語である。
<答え>その認識は誤りです。下記の解説をご覧下さい。
【設問2】自殺予防には高度な専門的知識が必要であり、専門家ではない一般市民によって何かできる次元のことではない。
<答え>その認識は誤りです。SPbyMDがこれを6年間実証し続けています。
【設問3】ココロもカラダも健康な人は自殺予防の対象者に該当しない。
<答え>その認識は誤りです。自殺予防とは健康増進にも該当します。ココロもカラダも健康な人は、その健康な状態を今後も維持していくために自殺予防を実践することが大切です。
自殺対策には大きく3分野が内包されていますが、これらを明確に分類・区別して説明されている資料は、世の中にそれほど多くありません。一般市民向けの自殺予防講演会などに参加すると「自殺予防」と「自殺防止」を全く区別せず講師が説明されていて、理解し難いことが多々あります。また、「一次予防」「二次予防」「三次予防」という名称を用いて分類されていることもありますが、どれも予防とあるため、結局は自殺予防という表現で一括りにされてしまっているのが現状です。しかしながら、自殺予防という言葉の意味からしても、一括りにするには無理があります。
では、SPbyMDが作成した上の資料図をご覧下さい。自殺対策3分野に関する名称と、それらの各ステージ・対象者・主な取組を、パッと分かり易く分類してあります。このように本来は、自殺予防と自殺防止という表現すらもイコールではないのです。表現を区別することによって、自殺対策における対象者の違いについても理解を整理整頓することができるようになります。また、専門家ではない一般市民にもできる取り組みが「自殺予防」にあることを、この資料図で認識できます。
そもそも「予防」と「防止」をイコールだと認識されていたら、それは誤りですから認識を修正させて下さい。SPbyMDでは、インフルエンザの予防接種に喩えて整理を促しています。まず、インフルエンザの予防接種を促すポスターが病院に掲示されていると思います。「インフルエンザの防止接種」と書かれているポスター見たことはあるでしょうか?恐らく「防止接種」などという言葉を見聞きされた経験がなく、違和感を覚えるのではないでしょうか。
さて、インフルエンザの予防接種の対象者は、既にインフルエンザに罹っている状態の方ではなく、健康状態である方を対象としています。そして、これから先においてインフルエンザに罹らないように対策を講じたい場合「予防接種」を受けに行きます。このことからも分かるように「予防」とは「あらかじめ防ぎたい」という意味です。読んで字のごとくでしょう。それは、自殺予防にもそのまま当てはまります。
上の資料図をご覧下さい。自殺予防とは、先述したとおり、自殺の危険が自身や周囲にある状態の人ではなく、現在において自殺の危険が自身や周囲にはない人を対象としています。これから先において自殺の危険が自身や周囲に起こらないように「あらかじめ防ぎたい」という意思によって講じられる行いを「自殺予防」と定義することにより、自殺防止との区別が容易となります。
さらに、ココロもカラダも健康な人は自殺予防の対象者には該当されない、とい認識が誤りであることをご理解いただけると思います。自殺予防は健康増進にも含むことができます。ココロもカラダも健康な人は、その健康な状態を維持し続けるためにも、自殺予防を実践することが大切です。